TOP MAGAZINE プルタブインタビュー 連載|プルタブシリーズ インタビュー Vol. 1

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連載|プルタブシリーズ インタビュー Vol. 1

貧困による格差が激しいブラジルで、現地の職人たちによって一つひとつ編み上げて作られている、プルタブシリーズ。フェアトレードの仕組みによって、その手仕事が安定した収入となり、厳しい環境におかれた女性たちの自立を支えています。

そんなプルタブシリーズを長年にわたり愛用いただき、Love&senseの取り組みを応援してくださる方へのインタビューを連載にしてお届けします。プルタブシリーズとの出会い、購入の決め手、そして使い続けるなかで感じていることなど、リアルな声をお届けします。

「理屈よりも、まず“可愛い”から始まる」

記念すべき第一回目のインタビューは、立教大学社会デザイン研究科特任教授の河口眞理子さん。環境・CSR・サステナブル金融の分野で長年第一線を走り続けてこられた、日本を代表する有識者のお一人です。

河口さんは、私たちにとって、迷ったときにそっと方向を示してくださる「羅針盤」のような存在でもあります。長年にわたり環境や社会の課題に向き合ってこられた河口さんが、プルタブバッグにいち早く共感し、実際に使い続けてくださっていること。そのことが、少しずつ周りの人の関心を広げてきました。

「理屈ではなく、モノで示せる」

その言葉の背景にある想いを、河口さんに伺いました。

プルタブシリーズとの出会いと、購入の決め手を教えてください。

正直、もう昔のことなので細かいきっかけはあまり覚えていないんですけど、最初に受けたインパクトははっきり覚えています。

「これは捨てられた缶のプルタブでできている」と聞いて、それがこんなに美しい商品になるの?って。

当時はまだ“アップサイクル”という言葉も今ほど一般的ではなかった頃です。「廃棄物で良いものなんてできるわけがない」と言われていた時代に、これだけおしゃれで完成度の高いものが出てきた。ある意味、先駆けですよね。

価格についてはどう感じましたか?

「安くない」というのが、逆にいいなと思いました。

「廃棄物なのにどうして高いの?」ってよく言われるんですよ。でも、バージン原料だって木を切ったり山を掘ったりしているわけで、どちらも資源には変わりないですよね。

「捨てられたものはタダ同然」という発想のほうが、むしろ面白いなと思ってしまいます。それに、「パーティーバッグとして使うなら安いよね」と言う人もいる。見る人によって評価が変わるというのも、このバッグの面白さです。

河口さんにとって、このバッグはどんな存在ですか?

自分のアイデンティティを表現する、わかりやすいツールですね。環境負荷が少なくて、アップサイクルで元の素材より価値が高まっている。それを理屈ではなく“モノ”で示せるのが大きい。

理屈になると、みんなちょっと構えますよね(笑)。でも、これは「可愛いね」から入れる。

「これ何でできていると思う?」
「プルタブだよ」
「え、本当?」

それだけで十分なんです。CO₂の話をしなくてもいい。直感的に伝わる。だからとてもシンボリックなんです。

それに、軽くて、意外と高級感があるところもいいと思います。仕事の後のパーティでは、ビジネスバッグに入れて持っていける。

普通、リサイクル素材って質が落ちていくイメージがありますよね。でもアルミは違う。素材そのものの価値は落ちない。

しかも糸の色づかいやデザインによって、どんどん付加価値が高まる。「捨てられていたものが、こんなに素敵になる」という意外性が大きいですね。

印象に残っているエピソードはありますか?

大和証券にいた時に、サステナブル・ファイナンスに共感している男性役員がいて、高島屋でまとめ買いされたことがありました。まず奥様に、次に娘さんに、「じゃあ自分にも」と(笑)。一気に“大人買い”でしたね。

ほかにも、クリスマスプレゼント用にポシェットを4つ買った友人もいます。あと、スウェーデン大使館のイベントで、スウェーデン王太子(王女)と隣になったことがあって、このバッグを見せたら「知ってる!」とウインクされたこともありました。ヨーロッパのセレブ層の間でも知られているんだな、と驚きましたね。

これからプルタブシリーズを使う方へ、メッセージをお願いします。

エシカルな集まりでは、もう“制服”みたいになっています(笑)。
だからこそ、「そういう難しいことはよくわからない」という方にも届くといいですよね。

別にエシカルでなくてもいい。「可愛いね」「軽いね」それだけで十分。

和装にも合うと思いますし、政治家など、少し違う文脈の影響力のある方が持ってくださると、また広がりが生まれるかもしれません。

プルタブバッグは、理屈よりも、まず可愛い。
そして、捨てられたものに新しい価値を与えられる。その象徴ですね。

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理屈ではなく、まず“可愛い”から始まる。その先に、資源や価値、そして社会のあり方を問い直す視点がある。

プルタブバッグがまだ広く知られていなかった頃、河口さんがこのバッグを選んでくださったことは、私たちにとって大きな支えになりました。長年にわたり社会課題と向き合ってこられた河口さんの言葉から、あらためてこのバッグの持つ力を感じます。

河口さん、ありがとうございました。


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