TOP MISSION 私たちがめざしたい世界

私たちがめざしたい世界

THE WORLD WE WANT

福市 FUKUICHI THE WORLD WE WANT

あなたが、そして、あなたの働く企業が、
幸せな次世代の未来をつくる。
あなたには、そんな重要なミッションと、可能性がある。
さあ、世界のいまを知り、行動の一歩を踏み出そう。

幅広く知って、私たちの仕事

「福市って、フェアトレード商品を扱っている会社ですよね」
もちろん、その通りだ。でも、それだけではない。
私たちが手がけてきたフェアトレードは、大きな目的のためのひとつの大切な手段だ。

では、私たちの目的とは何なのか。

それは、貧困など現代に横たわる不平等な構造を解消し、ひとりひとりが尊重され、人間らしく生きる暮らしを獲得すること。そして、持続可能な社会・環境に向けて、行動する人々を増やしていく。
それは決して、絵に描いた理想、見果てぬ夢ではない。

実現するか、否か。それは、私たち自身がいまどう暮らし、どうアクションできるかにかかっている。

「エコロジー」「リサイクル」「地産地消」から始まり、「サスティナブル」「SDGs」「エシカル消費」など、未来を見据えたさまざま言葉が生まれ、社会に浸透した。これらを、「一過性のおしゃれなトレンド」「漠然とした理解」で済ませるほど、私たちが暮らす地球の環境に猶予はない。
「大切ということはわかる。でも、何をすればいいの?」。そう考える消費者や企業も多いだろう。
まずは知りたい、対話して学びたい。そして、確かな行動で地球環境や人々の幸せに寄与したい。
あなたの願いと取り組みを実現するため、私たちの培ってきた経験と知見がきっと役立つ。

フェアトレードとの出会い。走りながら考える

「私たちの当たり前」に苦しむ途上国

私がフェアトレードという概念に出会ったのは、マーケティング会社を起業し、インテリア雑貨や家庭用品の企画・流通に従事していた時だった。時は1990年代後半。世の中はデフレでモノが売れにくくなるなか、原価を安く抑えて価格を下げ、大量消費をあおっていた。あふれたモノは次々とゴミになった。私の手掛けた商品の中にも、そのような商品もあった。

いつの間にか当たり前になった流通サイクルに疑問を持った。先進国のこのような経済活動の裏で、深刻な自然破壊が進み、有限な地球の資源を搾取しているのではないか。過酷な労働を強いられている人々がいるのではないか。私たちが流通サイクルに身を任せることで、この悪循環に加担しているかもしれない。

自分の仕事に疑問を持った私はNGOの主催するスタディツアーでインドを訪れた。そこで、野さらしになった工場廃棄物の山や、その近くで汚染物質を含んでいるかもしれない地下水を汲み上げて生活する人々の姿を目の当たりにした。予想を遥かに上回る環境破壊と労働搾取と貧困の現状にも衝撃を受けた。帰国後、貧困根絶のために世界90カ国以上で活動するNGOオックスファムの日本設立にかかわるなかで、現地の自律性を重んじるエンパワメントや途上国支援のノウハウを学んだ。

いま、変化への舵を切ろう

NGOとして活動するだけではなく、流通業界や市場に一石を投じられないか。私は自分の強みであるマーケティングの力を生かす模索を始めた。

当時、フェアトレード業界は、NPO系の人たちよる国際協力に関心のある人へのバザーなどが販売の中心だった。「途上国のかわいそうな人々から商品を買ってあげる」。そんなイメージに違和感があった。私たちが現在の流通システムを通じて、彼らの貧困に知らず知らずのうちに加担しているなら、フェアトレードこそ能動的に変化への舵を切るべき、社会全体の消費姿勢であるはずだ。

「フェアトレードの証」として、国際的に流布している「認証ラベル」にも疑問があった。高いハードルであるラベルの取得が目的になり、買い手もラベル付き商品を選ぶことに満足していないか。フェアトレードインターナショナルのドイツ本部に飛んで、思いをぶつけた。すると本部のディレクターは「私たちもこれが完璧だとは思っていない。完璧な仕組みを求めて足踏みする間も命を落とす人がいる。あなたも走りながら考えて」と私の背中を押した。

新しい価値観・文化をつくる

起業にあたり、思い描くフェアトレード像を明確にした。

「作り手」が当たり前の報酬を得て、経済的にも健康的にもきちんと生活できる。地球の環境破壊にもできるだけ悪影響を及ぼさない。「買い手」にとっても、フェアトレードを特別なものではなく、日常的にコミットできる環境がほしい。そのために、デザイン性豊かな商品を企画するのはもちろん、誰もが知る商業施設に出店し、フェアトレードを持つことがカッコいい新しい価値観・文化をつくろう。フェアトレードは一方通行の支援ではない。消費者は買い物を通じて遠くの人々とつながる喜びを感じる、いわばwin-winの取り組みなのだ。

こうして2006年、株式会社福市は誕生した。

福市のブランド「Love&sense」はNGOや現地の生産者とパートナーシップを結び、日本のニーズにあった商品を丁寧に開発した。全国各地の百貨店で期間限定ショップやイベント出展、オンラインで販路を広げ、2012年には日本で初めて、百貨店にフェアトレードの常設店を開店させた。西日本で最もファッショナブルな阪急百貨店うめだ本店だ。

「仕事を通じて尊厳を取り戻す」というブランド理念は、東日本大震災の被災地での取り組みにもつながった。プロジェクト「EAST LOOP」は、愛らしいハート型の手編みブローチ制作を通して、被災地女性の仕事する尊厳や癒しに結び付ける。事業が軌道に乗ったタイミングで、東北のメンバーが会社を設立し、そこに移管した。上達した編み手たちが生まれ、今では毛糸メーカーから仕事を請け負うソーシャルビジネスとして継続中だ。

知見をシェアし、行動する人を増やしたい

「未来に役立ちたい」を育てる

フェアトレード商品の企画・販売に奔走しながらも、痛感していたのは、なぜこのようなチャレンジが大切なのかを理解し、自分の場所や立場で行動する人・企業を増やす重要性だった。

もちろん消費者は意志ある購買活動を通じて社会課題を知るきっかけになるだろう。しかし、もう一歩踏み込みたい。イベントやシンポジウム、セミナーで講演や授業の機会があれば積極的に登壇した。

数年前、百貨店上層部、エシカルやサスティナブルな本質を知ることの重要性を訴えた。役員向けに半日の研修を、販売の要であるバイヤーら約200人に、貧困や環境へのひずみを生む流通構造を具体例をあげて伝えた。講演後、「環境に悪いものは売りたくない」「商品を選ぶ視点が変わった」「仕事を通じて、持続可能な未来に役立ちたい」という声が集まり、手応えを感じた。翌年以降も継続的に販売スタッフなど約600人にも対象を広げ、映画の上映や研修を行ったことで、今では催事の年間テーマに必ずサスティナブルが盛り込まれるようになった。その結果、百貨店業界全体へも波及し、意識が高まった。

一方、立ち上げに参画し2015年から塾長を務める「京都市イノベーション・キュレーター塾」に集うのは、サプライチェーンの関係者ばかりではない。多彩な企業・業態で働く人が、さまざまな実践者から話を聞き、ともに考え、自らの組織内・外で課題解決に取り組むための学びの場だ。

まずは知る。そして動こう

企業人と話していると、「儲かりさえすればよいという考えでは事業継続も危うい」と直感している感はある。国内外では、かつてないほど企業の社会的責任も求められている。とはいえ、知識も手法もわからないため、手探りで設けた「SDGs部門」や「CSR部門」に対応を丸投げしている例も多いのではないだろうか。
しかし、社会に大きなインパクトをもたらすためには、一部の担当者だけではなく、個々の社員から経営者までが正しい知識を持ち、目標へのマインドを共有する必要がある。

ぼんやりとわかったつもりになっている「エシカル消費」の本質とは何か。いま市場に流通している商品にはどのような背景があり、どのような労働に支えられているのか。複雑化する世界にはいかなる問題があり、なぜSDGsの取り組みが急務なのか。まずは知ること。そして、自らの消費活動や経済活動を点検し、小さくとも力強い一歩を踏み出すことが大切だ。自らの存在意義と未来に貢献する役割を再認識できれば、日々の仕事の原動力や企業の生き残りにもつながるはずだ。

フェアトレードに携わった長い経験、そして、世界各地の現場や国際舞台で得た最新の知見、人脈の輪を惜しみなく提供したい。企業へのコンサルタントだけでなく、消費者を含む多くの人が学べる多彩なオンラインサロンやリアルな対話の場を充実させ、アクションへの背中を押していきたい。

これこそが、株式会社福市の第2ステージだと考えている。

株式会社福市 代表取締役

髙津玉枝