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―EASTLOOP物語 第1話―「すべての始まり」

この写真を見て
「あ! このブローチ見たことがある」
といってくれてる人がいたら、私 高津は飛び上がるほど嬉しいです。

東日本大震災が発生し被災地の人たちのために何かできないかと、東北支援プロジェクトEAST LOOPを株式会社福市の代表 高津玉枝が2011年に立ち上げました。おかげさまで代表作のハートのブローチは10万個以上作られ、お客様の手元に届けることができました。 このプロジェクトを通じてどんな変化や学びがあったのか、この10年の節目に代表 高津が綴る記録集です。

株式会社福市代表 高津に関して詳しくはこちら

2011年3月11日
東日本大震災が起こりました。

私は1995年に起きた阪神淡路大震災を経験しています。
その経験もあり東北の被災地の映像を見るたびに、阪神淡路大震災の当時の風景—–ビルが倒壊し、街中にガスの匂いが充満しているゆがんだ街の光景—–を思い出し、頭が痛くなり気分が悪くなる…というフラッシュバックに苦しんでいました。

また当時は、私にとって仕事の方向性を大きく変えるタイミングでした。
途上国支援につながるお買い物「フェアトレード」という概念に触発されて、20年間経営してきたマーケティングの会社を閉じることを決断しました。
2011年4月からフェアトレード事業の会社にのみ注力することを決め、ブラジルとアメリカを訪問し日本に戻って事業計画を立てていた時期でした。

しかし、原発の被害や余震も続き日本経済の先行きも怪しくなり、人々は先も見えない不安な生活を強いられていました。
そんなときに、途上国支援のためのフェアトレード事業といっても誰の心にも響かず可能性も閉ざされてしまい、落ち込んだ日々を過ごしていました。

ですが、ある時に扱っていた商品の中にインドネシアの津波で被災した人たちが作ったフェアトレードの商品があることを思い出したのです。

今まではフェアトレード=途上国支援という枠が自分の中にあったのですが

「そもそも」
と自分に問いかけるうちに


フェアトレード=仕事の機会を提供し、それによってその人たちを自立に導くということ。

これって、別に途上国に限らなくても良いのではないだろうか

ということは

東日本大震災の被災地の人たちを支援することも、私が創りたい会社の理念に合致しているのではないだろうか。

フェアトレードと同じスキームを使って、被災地の人たちをサポートできるはず。

日本国内の厳しい環境に置かれている人たちすら救うことができなければ、
途上国の人たちをサポートとか、偉そうなことは言えないのではないか」

そんな思いがふつふつと湧き出てしまったのです。
そして時間が経つにつれて、その思いは抑えきれなくなり

「被災した人のために何かしたい。何かしなければ」


自分でも驚くほどの衝動に駆られ、動き出してしまいました。

被災した人たちのためにフェアトレードの考えを用いて何かしたい。

そう思っても、私には東北地方に全く縁がありませんでした。

「現地に入ることができなければ、商品など作れない…。
とにかく、現地としかも被災地とのネットワークを作らねば」

と思っていたタイミングに
仕事でお世話になっている知人から連絡がありました。

あらゆる物資が不足している東北現地から、
アルコール消毒で手が荒れるので、ハンドクリームをどこかで調達してほしいとの依頼でした。

マーケティング時代からお取引のあった企業にお願いし、何とか3トントラック2台分のハンドクリームを提供いただけることになり、
私は現地との橋渡しをすることで、岩手のNPOの方とコンタクトを作ることができました。


そして、一度も会ったことのないNPOの方に

長い長い、お願いのメールを送ったのです。



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